水いぼ、とびひとプール

〇水いぼとプール
水いぼはウイルス性の感染症ですが、インフルエンザなどのように飛沫感染はなく、プールの水の中に水いぼウイルスが存在するかは、明確なデータはありません。また基本的にプールの水で感染しないと考えて良いでしょう。ただし、ビート板や、共用したタオル、肌の接触などで感染する可能性はあります。このことは学校保健法や日本小児皮膚科学会でも同様なことが言われていますが、明確にプールを禁止していませんし、入っても構わないとしています。

〇伝染性膿痂疹(とびひ)とプール
かきむしったところの滲出液、水疱内容などで次々にうつります。プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止して下さい。

ところで・・水いぼ、とびひって?

〇伝染性軟疣(属)腫(水いぼ)
・特に幼児期に好発する皮膚疾患である。半球状に隆起し、光沢を帯び、中心に窪みをもつ粟粒大~米粒大(2-5mm)のいぼが、主に体幹、四肢にできる。
・病原体: 伝染性軟疣腫ウイルス
潜伏期間: 2-7週、時に6 か月まで。
・感染経路: 主として感染者への接触により直接感染するが、タオルの共用などによる間接感染もあり得る。
・症状: いぼ以外の症状はほとんどない。いぼの内容物が感染源となる。発生部位は体幹、四肢。特にわきの下、胸部、上腕内側などの間擦部では自家接種により多発する傾向がある。自然治癒まで6-12 か月、時に4 年程度かかることがある。
・好発年齢: 幼児
診断法: 臨床症状によりなされる。
・治療法: 自然治癒傾向があり放置してよい。しかし、自家接種や他者への伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的に治療する考え方もある。
・感染拡大予防法:多数の発疹のある者については、プールでタオルなどを共用しないよう指導する。登校(園)に制限はないが、浸出液がでている場合は被覆する。

〇伝染性膿痂疹(とびひ)
・紅斑、水疱、びらん及び厚い痂皮ができる疾患である。
・病原体: 主として黄色ブドウ球菌や溶連菌
・潜伏期間: 通常 2-10 日であるが、長期の場合もある。
・感染経路(発生時期):接触感染。痂皮にも感染性が残っている。夏期に多い。
・症状: 紅斑を伴う水疱や膿疱が破れてびらん、痂皮をつくる。かゆみを伴うことがあり、病巣は擦過部に広がる。ブドウ球菌によるものは水疱をつくりやすく、溶連菌は痂皮ができやすい。
・好発年齢: 乳幼児
・診断法: 臨床症状によりなされる。
・治療法: 皮膚を清潔にする。病巣が広がると外用薬、さらに内服や点滴による抗菌薬投与を必要とすることがある。
・予防法: 皮膚を清潔に保つことが大切である。集団生活の場では感染伝播の予防のため病巣を有効な方法で覆うなどの注意が必要で、皮膚が乾燥しているか、湿潤部位が被覆でき
る程度であれば、登校(園)に制限はない。
・感染拡大予防法:炎症症状の強い場合や、化膿した部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導する(米国小児科学会では治療開始24 時間以内までの隔離を推奨している)。