赤ちゃんの目やに
〇涙の流れ
涙は涙腺で作られて,眼球表面を潤します.その後,涙は目頭(眼の内側,鼻の付け根付近)にある上涙点,下涙点という小さな穴に吸い込まれます.吸い込まれた涙は,それぞれ上涙小管,下涙小管を通り,涙嚢に集まり,鼻涙管という細い管を通って鼻の奥の下鼻道へと流れます.
通常,眼から鼻の奥に流れる涙の量は少ないので,気付くことはありません.
しかし,泣くと涙の量が増えてしまい,上記の経路を通って鼻水として出て来ます.処理しきれない涙は眼から溢れて出ます.
〇先天性鼻涙管閉塞とは?
生まれた時に鼻涙管が下鼻道に開口する箇所に膜のようなものが残る場合があり,これを「先天性鼻涙管閉塞」と呼びます.出生直後には10-20%がこのような状態にあり,決してめずらしくありません.先天性鼻涙管閉塞では涙がうまく流れないため,赤ちゃんはいつも眼に涙を浮かべているような状態になります.涙が滞留するため細菌感染を起こし,目脂(めやに)が出ることがあります.
〇自然治癒を待つ
先天性鼻涙管閉塞は,1歳までに約90%が自然治癒します.家庭での鼻根部(鼻の付け根)マッサージが有効です,1日2回,上から下に向けて優しく揉みます(眼球を強く押してはいけません).
目脂(めやに)が出る時には,一時的に抗菌剤を点眼します.
〇自然治癒しない場合には
自然治癒しない場合には,鼻涙管開放術(ブジー)を行います.涙点から細い針金のようなもの(ブジー針)を鼻涙管に差し込んで,涙の流れを邪魔している膜を突き破る方法です.ごくまれにブジーを行っても開通できない場合には,チューブ留置を行うことがあります.