アレルギー性鼻炎について
「アレルギー性鼻炎」とは,鼻粘膜におけるアレルギー疾患であり,発作性反復性のくしゃみ,水様鼻汁(鼻みず),鼻閉(鼻づまり)を3主徴とします.
このうち,花粉を抗原とする場合を特に「花粉症」と呼びます.眼のかゆみ,充血,涙目などの「アレルギー性結膜炎」を併発することもあります.また,頭がボーとしたり,不眠などの症状を呈することもあります.
<有病率は?>
日本における全国的規模の調査では,有病率は,通年性アレルギー性鼻炎が18.7%,スギ花粉症が16.2%,スギ以外の花粉症が10.9%でした.
患者年齢は,通年性アレルギー性鼻炎は10歳代,スギ花粉症は30-40歳代にピークがあります.
以前は,通年性アレルギー性鼻炎の主たる原因であるダニ抗原の感作後に,スギ花粉に感作される症例が典型的でしたが,スギ花粉に感作された後にダニに感作される例や,スギ花粉にのみ陽性の症例も増えつつあります.
スギ花粉症は,発症の低年齢化と高年齢化が同時に見られ,広い年齢層でみられる疾患になって来ています.
通年性アレルギー性鼻炎は男児が,スギ花粉症では女性の有病率が高くなっています.
<原因は?>
通年性アレルゲン性鼻炎の原因抗原としてはダニ,ハウスダストが最多で,イヌやネコなどのペット,ゴキブリなどが挙げられます.
主な花粉の飛散時期は,樹木(スギ,ヒノキ,ハンノキ,シラカンバなど)は1-5月(ピークは3月),イネ科植物(ハルガヤ,カモガヤ,オオアワガエリ,ギョウギシバなど)は4-11月,雑草(ブタクサ,ヨモギ,アキノキリンソウなど)は8-10月です.
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小児のアレルギー性鼻炎
<小児のアレルギー性鼻炎の特徴>
アトピー性皮膚炎や気管支喘息の増加とともに,小児ではアレルギー性鼻炎も増加しています. アレルギー性鼻炎の患者数は男児の方が女児よりも多いですが,思春期になるとほぼ同数になります.この傾向は気管支喘息と同じです.アレルギー性鼻炎は幼児期からみられますが,アトピー性皮膚炎が先行することが多いです.気管支喘息患児にアレルギー性鼻炎が合併することが多いです。
アトピー性皮膚炎や気管支喘息は成長とともに軽快または治癒する傾向を示しますが,アレルギー性鼻炎の治癒率は低く成人期に持ち越すことが多いようです。
アレルギー患児は扁桃やアデノイドが肥大傾向にあるため,アレルギー性鼻炎のコントロールが不良で鼻粘膜が腫脹すると,容易に滲出性中耳炎や慢性副鼻腔炎を併発します。
<症状>
さらさらの鼻がだらだら垂れて止まらない,鼻がムズムズする,くしゃみを頻繁にする,鼻がつまって苦しい(鼻閉)などが主症状です.アレルギー性結膜炎による眼のかゆみがある場合には,鼻風邪ではなくて,アレルギー性鼻炎の可能性が大です。
小児のアレルギー性鼻炎では,鼻の痒みのために,鼻いじりが頻繁で,鼻出血を起こします。
<原因>
小児のアレルギー性鼻炎の原因抗原はダニやハウスダストが多く,このため通年性アレルギー性鼻炎が多い傾向にあります。
従来,小児では花粉症は少ないと言われて来ましたが,近年はスギをはじめとする花粉症が増加傾向にあり,とくにスギは幼児期あるいは学童期に既に感作されている場合があります.
花粉症の原因は,年長児では成人と同様で,春は樹木花粉(スギ,ヒノキなど),夏はイネ科(カモガヤ,オオアワガエリなど),秋はキク科(ブタクサ,ヨモギなど)とクワ科(カナムグラ)の雑草の花粉です.
<治療>
1.内服薬
(1)抗アレルギー剤 くしゃみ、鼻水、鼻閉に効果があります。
当院での処方)ザジテン、セルテクト、アレジオン、ジルテック、アレロックなど
(2)ロイコトリエン受容体拮抗薬 鼻閉の症状が強い鼻炎に使用します。
当院での処方)オノン(シングレア)
※その他 アイピーディ
2.外用薬
(1)ステロイド点鼻薬 鼻粘膜の炎症を抑えます.
当院での処方)ナゾネックスなど
(2)抗アレルギー剤点鼻薬
当院での処方)ザジテン点鼻薬、インタール点鼻薬